通勤手当が支給されなかったのは違法として、大阪で訴訟が起きたそうです。

 

各種メディアによると、以下のように報じられています。

正社員に支払う通勤手当を払わないのは違法だとして、人材派遣会社リクルートスタッフィング(東京)の元派遣スタッフの男性(46)が、未払い交通費約72万円を同社に求める訴訟を7日、大阪地裁に起こした。

訴状によると、大阪府富田林市の男性は2014年9月~昨年6月、同社の有期契約の派遣スタッフとして輸送会社の府内事業所など5カ所で勤務。時給は1100~1350円で、1日あたりの交通費往復1180~1580円は自己負担だった。

男性側は通勤手当で正社員と差をつける合理的な理由はなく労働契約法に違反する、と主張している。

出典:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6271276

 

現在も社会問題として話題に事欠けない派遣労働者の話題。

 

Uberのようなベンチャー企業が発展し、その日単発の仕事をこなしていくという「ギグエコノミー」という単語も生まれました。

 

派遣労働者や非正規雇用など、さらにはノマドワーカーなどのワードも生まれ、企業に属さず(就職せず)生活することに対して、様々な論争が繰り広げられてきました。

 

そんな中、このような訴訟が起きてしまいました。代理人弁護士による、派遣社員が派遣元に対して通勤手当の支払いを求める訴訟は国内初だといいます。

 

そこで今回は、現状、派遣労働者に通勤手当は含まれるの?など調査しつつ、この裁判の行方はどうなるのか、予想も含めてご紹介していこうと思います。

スポンサーリンク
 

 

派遣労働者に通勤手当は含まれるの?

派遣労働者に通勤手当は支払われるのかという問題。派遣労働者にとっては手取りに関わる重要な問題です。

 

現状、派遣で交通費が支給されるかどうかは派遣会社によって異なります。

 

  • ①時給に交通費も含む
  • ②交通費も別途全額支給
  • ③交通費1万円まで・3万円まで支給

 

派遣会社によっては様々ですが派遣では一般的に①がほとんどです。

 

近年、交通費を一部負担する派遣会社も増えてきてはいますが、実際には一部負担される代わりに、時給が若干安めに設定されている場合が多いです。

 

結局は同じような金額だったり、残業時間によっては交通費が支給されるより高めの時給で残業代をもらった方が得だった、なんてことも往々にしてあるそうです。

 

 

この裁判の行方は?判決はどうなる?

この裁判、提訴した側が勝つ可能性も無きにしも非ずだと思います。

 

提訴した側の主張で関わってくるのが、労働契約法第20条です。

 

労働契約法第20条とは、派遣社員や契約社員・パートなどの有期契約で働いている人と、正社員などの無期契約で働く人との間で、賃金や手当・福利厚生など労働条件に不合理な差をつけることを禁じる法律です。

出典:https://haken-news.com/%E9%80%9A%E5%8B%A4%E6%89%8B%E5%BD%93/

ただし、労働条件を何でも同じにしなければいけないというわけではなく、

 

“労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。”として仕事内容・業務責任によっては労働条件に差があることを認めています。

 

過去には正社員と契約社員とで通勤手当などの労働条件の違いがあるのは違法だ!というような裁判が行われ注目を集めました。

企業側は正社員には配置転換の可能性があるため正社員と契約社員で通勤手当に差があるのは不合理ではないと主張しました。
しかし、判決では“通勤手当は、会社に勤務する労働者が通勤のために要した交通費等の全額又は一部を補填する性質のものであり、通勤手当のかかる性質上、本来は職務の内容や当該職務の内容及び変更の範囲とは無関係に支給されるものである。”として「不合理と認められるもの」として契約社員の方の訴えが支持されました。

この企業は、裁判を通じて契約社員にも正社員と同条件で通勤交通費を支払うようになりました。
出典:https://haken-news.com/%E9%80%9A%E5%8B%A4%E6%89%8B%E5%BD%93/

 

この判例を踏まえると派遣社員に通勤手当が出ないというのは、「労働契約法第20条」違反の可能性が高いです。

 

多くの派遣会社では正社員には通勤手当を出しているため、派遣社員だけ通勤手当が出ないのは不合理といえないこともありません。

 

しかし、今回ポイントとなるのは派遣先企業での交通費を請求しているということ。

 

派遣労働者の雇用主は派遣元であるということは忘れてはなりませんし、派遣元での業務における交通費支給なら前例通り分かるのですが、派遣先で業務ですっからね。。

 

厚生労働省の東京労働局によると、以下のように述べられています。

 

適正な労働者派遣においては、派遣労働者の雇用主は派遣元事業主であることから、派遣元事業主と派遣先が文書であるか否かを問わず何らかの取り決めを行い、通勤手当を含む賃金の一部を派遣先が支払うことは、賃金の直接払いの原則から労働基準法違反となり、又、労働者供給事業に当たる事となるため職業安定法違反となります。
出典:http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudousha_haken/004.html

 

因みに、派遣労働者が業務上の出張を行うために必要な出張旅費等の経費については、派遣先が負担しなければならないのですが、今回の事例には当てはまっていません。

 

過去の判例は社員と契約社員の格差問題であって、これは理になかっていると思いますが、今回は派遣先での通勤手当の問題。

 

派遣先が払うことは労働基準法に反するので、派遣元を責めたわけですね。

 

ここまでいくと派遣会社の業務管轄の域を超えていますし、契約に齟齬が生じたり企業間の癒着の原因となったりしますよね。(大手なのでしっかり取り決めるとは思いますがかなりややこしいです。)

 

一言でいうと”争点が畑違いの裁判”なのではないでしょうか?

スポンサーリンク
 

 

まとめ

社員と契約社員の格差問題は昔から取り沙汰されていますが、企業側が折れるのもそれはそれで問題です。

 

前述したように契約社員が良くないという風潮も徐々に緩和されつつありますし、企業側もあまり強気には出られてなくなっているのも事実です。

 

実際、厚生労働省も下記のように告知しています。

派遣社員にも交通費(通勤手当)が出るよう早く是正して欲しいです。(※派遣社員の雇用主は派遣会社なので、派遣会社の正社員との比較です。)

 

契約社員の主張も理にかなっているので、お互いの折衷案で通していくというのが当面の動きになりそうですね。

 

 

ただ、今回ばかりは、、?

 

気になるので裁判の判決にも注目していきたいと思います。

 

因みに、リクルート側は「派遣スタッフは通勤費用も勘案して給与額を設定している。訴訟については訴状が届いておらずコメントできない」と、もう判決そのものといっても過言でない完璧なコメントをしています。笑

 

「通勤費用も勘案して給与額を設定している」この一言で、ぐうの音もでないですよね。笑

スポンサーリンク